研究概要 |
漢薬の理血薬として繁用されている丹参紫根のエキスは心臓・血管の疾患の治療に有効で且つ、血液の循環をよくし、冠動脈の拡張をもたらし冠流量を増大する作用がある。 【I】.丹参エキスよりフェナントレンキノン化合物4種を単離し、それぞれの物理化学的性状の検討より、Tanshinon【I】(mp236゜),【II】(mp197-200゜),Dihydrotanshinone(mp216-7),Cryptotanshinone(mp185-90゜)であることを証明した。 【II】.紫根エキスよりナフトキノン化合物3種を単離し、それぞれの物理化学的性状の検討よりShi〓onin,acetylshiponine(mp98)およびα-methyl n-butylshiponinであることを証明した。 【III】.虚血性心疾患病態モデルについて生化学血行動力学的研究を次の通り行った。ラット又はウサギ摘出心臓を用い、95%窒素と5%炭酸ガスで通気した灌流液で灌流しその後95%酸素と5%炭酸ガス飽和液で45分間灌流し心収縮力の回復を観察した。その結果15分間のHypoxiaが最良の条件であることが判明した。【IV】結論 Tanshinone【I】を低酸素時に7p mole/minの連続注入を行うとその後の再酸素化時の心筋収縮力回復は有意に改善され、低酸素化時におけるATP代謝産物の遊離を有意に抑制した。Acetylshi〓onineも、1.6p mole/minの連続注入により、再酸素化時の心収縮力を回復、および低酸素時のATP代謝物遊離を抑制した。 以上の結果は、Tanshinone【I】およびacetylshiponineが虚血心臓に有益に作用し、虚血障害に対し保護的に働く可能性を強く示唆している。
|