研究概要 |
(1).(a).ラット遊離肝細胞における糖新生および尿素合成速度を、グルタミンを基質として求めた。【Ca^(2+)】動員性アゴニストであるフェニレフリンの両合成能に対する刺激応答が、カフェインによって、さらに増強されることを見い出し、それに伴う細胞内エネルギー代謝変動と合わせて検討した。両合成能は、10μMのフェニレフリンによって、それぞれ1.7,1.9倍(コントロール比)に増強された。1mMのカフェインは、この効果をさらに強め、それぞれ、2.1,2.4倍になった。5mM以上のカフェインは、むしろこの効果を抑制した。これらのカフェインによる効果は、フェニレフリンの存在と細胞外【Ca^(2+)】濃度に依存した。(b).カフェインによる両合成能の増強効果は肝細胞の呼吸活性を13%増大させた。この時両合成に使用されるATPはこの活性増大によって産生されるATPの約40%に相当した。ミトコンドリア内およびチトクロームCの酸化還元状態は、カフェインの効果によってより還元型に移行した。この条件下でのリン酸化ポテンシャルは、1.7×【10^3】〜2.4×【10^3】【M^(-1)】であり、ほぼ一定であった。両合成能のカフェインによる増強パターンはよく類似していたことから、ATP供給の選択性は、ないものと考えられた(Biochem.Pharmacol.に投稿予定)。 (2).ウサギ胃粘膜より、高圧血管灌流,酵素処理,パコール密度勾配遠心による精製過程などを経て、遊離胃壁細胞を得た。生存率は9.5%以上と高かった。胃酸分泌の指標は、〔【^(14)C】〕-アミノピリンの取り込みにより調べ、各種分泌促進剤に反応した。同条件下での酸素消費速度も測定した。細胞の〔ATP〕/〔ADP〕比は細胞外pHに依存し、pHが6〜8の範囲では、アルカリ側にシフトすると、その比はほぼ直線的に減少した。リン酸化ポテンシャルは約0.8×【10^3】【M^(-1)】であり、分泌促進剤刺激時でも、ほぼ一定に保たれていることがわかった(投稿準備中)。
|