研究概要 |
1.メチルグリオキサール(MG)の定量法について。(1)オルトフェニレンジアミンとMGを反応させ生じる2-メチルキノキサリンを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で定量した。このことについては、J.Chromatogr.-414,(1987)149-155.に発表した。(2)(1)の定量法を改良して電子捕獲検出器付ガスクロマトグラフィーでMGを定量する方法について、J.Chromatogr.(1987)in press.に発表した。 2.MGの生成ルードについて。上記の2つの定量法を用いて今迄報告されているMGの生合成ルートを一つ一つ検討した。(1)アセト酢酸から生成すると云われるルートはミオグロビンと【Mn^(++)】から試験管中では生成することがわかった。しかし【Mn^(++)】がmM必要であり生理的でないことがわかった。(2)L-トレオニンからアミノアセトンを経由して生成すると云われるルートもほとんどMGが生成しなかった。(3)非酵素的にMGが生じると云う論文があり、それも申請者が追試したが、旧来の定量法では追試出来たが、我々の新定量法では全くMGは生成しなかった。この問題はMGの合成基質である三炭糖が旧定量法では発色していることがHPLC等でわかった。(4)糖質から生成するルートについては各種動物の各種臓器で追究した。ガラクトース投与ラットの心臓,肝臓でフルクトース1,6-2リン酸(F-1,6-dip)から7〜10%の収率で、またヒト溶血赤血球ではF-1,6-bpから9%の収率で各々生成することがわかった。 3.MGの代謝について、MGはD-乳酸になりピルビン酸になる経路とホルムアルデヒド脱水素酵素によりピルビン酸になる経路だけについて研究している。前者はD-乳酸の新定量法,後者はギ酸の新定量法を確立して研究を前進させている。4.病態との関係について、岡山国立病院院長,山内逸郎,同病院,瀬崎内科医長より血清等を得てD-乳酸の含量を測定し病態との関連を調べている。
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