研究課題/領域番号 |
60571070
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 (1986) (財)東京都老人総合研究所 (1985) |
研究代表者 |
室田 誠逸 医科歯科大, 歯学部, 教授 (50072989)
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研究分担者 |
中尾 純子 (都)老人総合研究所, 内分泌科, 兼務研究員 (10150880)
森田 育男 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (60100129)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1986年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1985年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | アラキドン酸カスケード / 動脈硬化 / 12-HETE / プロスタグランジン / EPA / PDGF |
研究概要 |
脈管系におけるプロスタサイクリン(PG【I_2】)とトロンボキサン【A_2】(TX【A_2】)の生合成バランスの異常は種々の血管病変を惹き起こすことが動脈硬化症・糖尿病・心筋梗塞・脳梗塞などの血詮性疾患で証明されている。本研究は、(1)抗血栓効果をもつといわれるエイコサペンタエン酸(EPA)の効果の動物種差についてさらに検討を加えた。ラットおよびヒトの血管から中膜平滑筋細胞を採取し、培養の系に移した。培養液中にEPAを添加するとヒトの細胞ではPG【I_2】の産生量は減ったが、そのかわりにEPAからPG【I_3】がつくられた。これに対しラットの細胞ではPG【I_2】の産生量が減っただけでEPAからPG【I_3】がつくられなかった。PG【I_3】はPG【I_2】と同等の強い血小板凝集阻害活性をもっているので、EPAの効果がヒトとラットで異なる理由の一つがここにあると思われる。一方、EPAが存在するとヒトの血小板ではTX【A_2】の生成が強く阻害されたが、ラットの血小板ではそれほど阻害が見られなかった。このこともEPAがヒトでは有効だがラットには有効でない理由となるものと思われる。(2)中膜平滑筋細胞の遊走能亢進に及ぼすPDGFと12-HETEの作用の相互関係につき検討を加えた。その結果PDGFは中膜平滑筋細胞に作用した後、同細胞の12-HETE産生を介して、遊走能亢進作用を発揮することがわかった。中膜平滑筋細胞をインスリンを添加した培養液で培養しておくと、インスリンの濃度に依存して12-HETEの効果が促進された。これらの結果は、hyperglycemiaの患者においては、糖尿病や肥満の患者におけるが如く、動脈硬化が強く現われる事実と一致し、きわめて興味深いものである。
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