研究概要 |
小児看護への母親参加の一つの型である付添いについては, 母親の疲労の研究として一部は昭和60年以前からの研究を継続する一方で, こどもが入院している病棟における母親参加の概況把握を目的とした調査を行なった. この結果, 小児病棟における付添い率は0〜96.4%の間に分布し, 付添いに関する病棟の方針と付添いの現状との間には多くの不一致がみられた. 上記の調査の中から, 付添い率の高い小児病棟について付添う母親と付添われている小児の5AM〜9PMまでの生活行動を観察し, 同時に母親と面接して母親参加についての意見を調査した. この結果, 母親には休息・自由時間が多いのに小児のそばを離れず, 特に乳幼児の母親は95%の時間を小児と密着して過し, 本当の意味での自由な時間はないこと, 母親の付添いにより家族も含めて生活に大きな変化があり, 特に職業を持つ母親にはきびしいことがわかった. 同様の調査を, 付添いに関する姿勢の異なる病院において, 面会者と付添い者の双方に対して行なった. 付添なしを原則とする病棟では, 面会者を対象として調査を行ない, 面会者は抱く, あやすなど母親と小児の満足につながるかかわりが多く, 一方処置や治療にかかわる世話は殆ど看護婦が行なっていた. 面会は母親と家族の生活に影響を及ぼしていたが, 付添いと比較すれば影響は小さかった. 付添いを選択的につけていると思われる病院においては, 母親と小児の背景の詳細な調査と小児の状態の観察を行なった. この結果, 付添いの適応を決定していると思われる要因の第一は年令であり, 付添い率は2才が最高で91.3%であった. 4才以後は40%以下となり, 学童ではほゞ重症者と処置の多い小児に限定された. 母親側の条件は殆ど考慮されていなかった. 病棟看護婦の母親参加に関する意識を問う調査は範囲をひろげたため分析が遅れ, 結果を公表するに至っていない.
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