研究分担者 |
内田 英子 埼玉県衛生短期大学, 看護学科, 助手 (20160278)
安田 美弥子 埼玉県立衛生短期大学, 看護学科, 講師 (30158000)
佐々木 明子 埼玉県立衛生短期大学, 専攻科, 助手 (20167430)
野川 とも江 埼玉県立衛生短期大学, 看護学科, 講師 (20104987)
河内 卓 埼玉県熊谷保健所, 所長 (80076968)
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研究概要 |
在宅呆け老人とその家族の実態を知り, 地域の保健活動のあり方を探るために, 保健社会学的あるいは公衆衛生看護的な観点から多面的な研究を3年間にわたって行い, 下記のとおりの研究成果を得た. I.呆け老人・家族の実態とニードの分析 埼玉県所沢市の65歳以上の老人全員に調査を実施し(回収14084人,94%), 一定の基準(高崎1985)によりスクリーニングを行った. 呆け老人は579人(4.1%)であった. このうち軽い呆け症状の老人を除く350人(2.5%)に面接調査を実施した結果, 男女により発症率や発症年齢に差がある, 発症には精神的あるいは環境的・社会的要因も大きく関与している, また異常精神症状の発現や家族の介護上の困難の訴えの表出は, 老人とその家族のおかれた状況に影響を受ける, などの点が明らかになった. II.呆け老人の3年間の追跡調査 上記二次調査対象者(有効数306人)の3年間の追跡調査を行ったところ, 死亡者数は1年間後46人, 2年後46人, 3年後39人の計131人(42.8%)であり, 生存率はそれぞれ85%, 70%, 57.2%とほゞ直線的に下降していた. ADLレベル, 配偶者の有無, 家族構成の違いなどにより, 死亡率に差がみられた. III.呆け老人・家族支援と援助活動の評価 呆け老人とその家族に対して訪問活動等を実施し, その経過を分析することにより, 地域の保健福祉活動のあり方と, サービスのネットワークの必要を浮きぼりにした. 呆け老人・家族へのフォーマルとインフォーマルなコミュニティ・サポートにはそれぞれ独自の役割と機能があること, そして行政には, 老人・家族への直接サービスと, 家族の会, 老人クラブ, 友人の支えなどのインフォーマルなサポートを支援, 育成する責務が重要であることを指摘した.
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