研究分担者 |
日置 恭司 (財)実験動物中央研究所, 飼育技術研究室, 室長代理
斎藤 宗男 (財)実験動物中央研究所, 飼育技術研究室, 室長 (50167417)
伊藤 豊志雄 (財)実験動物中央研究所, 動物医学研究室, 室長代理 (20106644)
小泉 均 (財)実験動物中央研究所, 霊長類研究室, 室長代理 (80167395)
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研究概要 |
小型ザルの一種であるコモンマーモセットの微生物学的統御を行う目的で, 無菌化ならびに清浄飼育の技術について検討した. 1.雌雄を連続同居させておいて1週間間隔で子宮を触診し, その大きさが8mmに達した日より数えて105日後を分娩予定日と設定した. その前後の時期に子宮の触診ならびにX線撮影による胎児の位置の観測を行い, 帝王切開日を判断した. 2.17例の妊娠母体を得た. このうち6例は帝王切開日決定前に出産してしまい, 残り11例が帝王切開に供された. 3.コモンマーモセットの帝王切開術は, エーテルによる全身麻酔後, 腹壁消毒・切開, 卵管ならびに子宮を鉗子で止めて切断, 消毒漕を通してアイソレータ内に送り込み, す早く胎児を取り出して蘇生させる方式で行えた. 4.帝王切開11例のうち, 胎児の蘇生に成功したものは9例であった. このうち, 新生児が3日以内に死亡してしまったものが5例あり, 長期に生存し得たものは4例(7匹)であった. 現在6匹を繁殖用に飼育中である. 成功の条件は, 胎児が十分に成熟(体重27g以上)していること, ならびに蘇生までの時間をできるだけ短時間(3分以内)にすることである. 5.手術・哺乳用アイソレータ(ビニル製, 幅120, 横90, 高45cm, ミルク保温用水槽付), 育成用アイソレータ(ビニル製または硬質ポリ製, 中に育成用ケージを設置)ならびに, 繁殖用アイソレータ(ビニル製, 幅1.9m, 横1m, 高1.2m, 繁殖用ケージ3ヶ収容可)を考案, 製作, 使用した. 6.ミルクはヒト用, 離乳食はヒト用バナナうらごし, 飼料はサル用粉末ならびに固型飼料が利用できた. いずれも放射線滅菌して使用した. 7.無菌化に続くSPF化のため, 微生物学的統御が可能なマーモセット専用の清浄飼育装置が製作された.
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