研究概要 |
国民1人ひとりが自立した、健全な食生活を営むために、学校教育における栄養教育の内容の体系化を図るための基礎資料を得ることを目的として、次のような調査を行った。 1.教員養成大学・学部卒業生で家庭科の教員免許状取得者及び家政学部食物学科卒業生並びに教員養成大学・学部の食物学関連科目担当教官を対象とした、家庭科における栄養教育の内容に関する意向調査。内容としては、栄養素に関連する項目、80項目、栄養生理に関連する項目、20項目から義務教育レベルで教えることが望ましい項目を選択して回答するものとした。2.小・中・高校生を対象とした「栄養」・「食品」に関する基礎知識習得度調査。内容としては、1.の意向調査結果及び現行の指導内容をもとに、小学校31項目,中学校38項目,高等学校66項目についてそれぞれ回答のための選択肢の中から最適と思われる回答を選択するものとした。調査対象は、小学生7校502名,中学生6校604名,高校生6校511名である。以上の調査から次のようなことが明らかになった。1.意向調査の結果から、50%以上の者が義務教育レベルで教えることが望ましいと回答した項目数は49項目であり、これは現行の指導内容をかなり上まわるものである。また、栄養生理に関する項目を指導する必要があるという意見が多かった。2.基礎知識習得度調査からは、小・中・高校ともに平均正答率が50%以下であり、とくに中学生の正答率が低いことが明らかになった。また属性との関係から、栄養,食品,健康,食事等に関心のある児童・生徒に正答数の多い傾向が認められ、児童・生徒に生活に関心を持たせる指導の必要性が示唆された。内容的には、「栄養素の機能」に関する正答率が最も低く、栄養生理に関する指導の充実が望まれる。これらの結果をふまえ、栄養教育の各発達段階における内容の体系化と、その到達度評価のための標準テスト試案を作製した。
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