研究概要 |
本研究は、洗浄における機械エネルギーの役割を、力の方向性も考慮に入れた精密な実験を通して、定量的に明らかにすることを目的して行われたものである。 超高速遠心機をはじめて洗淨系に導入することができ、1μm以下の微粒子を除去することが可能となった。ついで基準として30度の傾きをもつ角度型ロータを使用し、これに装着する基質ホルダーの角度を変えることにより、一定の遠心力(Fc)で水平分力(Fh),垂直分力(Fv)の比を制御し、さらにFk、及びFvを一定にして、Fh,Fvの寄与を変えることを可能にした。 昭和60年度・ガラス粒子-ガラス基質について、遠心力洗淨を行い、洗淨時間,回転数,ロータ角度,粒子径などが粒子除去率に及ぼす影響について実験した。除去率は洗淨時間,回転数,粒子径の増大とともに増大し、回転数と除去率間に直線関係がみとめられた。また、一定FcでFhとFvの比を1:0.27〜1:1に変化させて洗淨したところ、Fhの寄与が大きいほど除去率が高くなった。また、Fhを一定にし、Fvを変化させたところ、Fvが小さいほど除去率が大となり、Fvと除去率間に直線関係がみられたので、Fv=0,即ち、Fhのみが仂く点での与えられたFhに対する除去率が推定できた。そこで、Fhが主体である層流洗淨で洗淨した結果から、同じ程度の除去率を与える層流洗淨での除去力と遠心力洗淨でのFc=Fhの除去力を比較したところ、かなり近い値が得られた。 昭和61年度・前年度の実験結果を他の系で確認した。すなわち、ポリスチレン粒子とガラス平板,ポリエステル,アセテート,セルロースフィルムの系で、前年度と同様の実験を行ったところ、同じ傾向がみられ、粒子除去における除去力の方向性の影響を確認することができた。
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