研究概要 |
人間の生活活動の中で最も基本的なものである摂食行動を制御する要因の一つとして食品の香気成分がある。つまり、食品香気成分は一種の摂食情報物質である。本研究では学習能力の劣る動物であるモルモットをモデルケースとして、摂食調節作用を有する香気成分の存在を明らかにし、更に、可能な場合には、この成分のモルモットに及ぼす影響を体内の代謝酵素活性等の変動より評価し、香気成分の有する摂食調節作用を解明するための基礎データを得ることを目的としている。前年度に得られた結果によると、アルフアルフアから得られた中性画分は各画分の中でも量的にかなり多く、且つ緑葉香気を有しているため、酸性画分と共にモルモットに対する摂食調節作用の発現に寄与していると考えられた。そこで、本年度はこれらの画分に含まれている揮発性成分の同定について、前年度に引き続きガスクロマトグラフィーおよびガスクロマトグラフ・質量分析法により検討を行った。その結果、アルコール類としてはエタノール,n-ブタノール,n-ペンタノール,シス-およびトランス-3-ヘキセノール,3-オクタノール,ベンジルアルコール,フルフリルアルコール,オイゲノールなど25種,また、脂肪酸を中心とする有桟酸としては酢酸,プロピオン酸,n-酪酸,n-吉草酸,安息香酸など15種,その他各種のアルデヒド類,ケトン類,フェノール類など合計約70種類の揮発性成分の存在が確認あるいは推定された。しかし、アルフアルフアの揮発性成分としては全体で190種以上もの成分の存在が確認されており、したがって、今後未同定のものについて更に同定を進める必要がある。なお、これら同定あるいは推定された揮発性成分の中でも、C-6アルコール,アルデヒド等は緑葉香気の形成に大きく寄与しているものと考えられ、摂食行動の誘起効果が期待されるが、実際に予備テストの段階ではヘキセナール等の有効性が示唆された。
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