研究概要 |
実験動物としてラットを用いて、妊娠全期間中、植物性タンパク質のみをタンパク質源とした場合に、タンパク質5%レベル又は10%レベルで分娩,哺育が可能かどうかを観察し、更に各タンパク質含量の1/2量を動物性タンパク質に置き換えた場合、栄養効果の改善がなされるかどうかを検討した。 1.5%タンパク質レベルでは、米,米+大豆,米+アルブミン,米+カゼイン群のいずれも妊娠維持,分娩が可能であった。米,米+大豆群では死産または出生日に仔が死亡する例がみられ、更に授乳期間中に仔が死亡する割合は米群で約17%,米+大豆群では約73%であり、米+大豆群では哺育がかなり困難であった。米+アルブミン,米+カゼイン群では死産はみられず哺育はすべて可能であった。出生仔の発育については、5%タンパク質食群の仔はいずれも、出生日において体重,臓器重量,タンパク質量,核酸量などが対照群(精製全卵タンパク質20%食)に比して減少し、生後49日においても、体重,臓器重量が対照群より有意に小さかった。アルブミン,カゼイン添加群は米群に比して出生仔の発育が良好で、アルブミンの方がカゼインより比較的良好であった。 2.10%タンパク質食では、米+大豆,米+カゼイン,大豆,大豆+アルブミンの各群で妊娠維持は可能であった。米+大豆,米+カゼイン群では正常な分娩,哺育が可能であった。大豆群では死産及び出生日に仔がほとんど死亡する例がかなりの頻度でみられ、哺育はすべて不可能であった。大豆+アルブミン群は死産,出生日の仔の死亡例もあるが、哺育は大体可能でありアルブミン添加によるタンパク質栄養効果の改善が認められた。出生仔の発育については、米+大豆,米+カゼイン群の仔は共に対照群に匹敵する良好な発育を示したが、カゼイン添加群の方が大豆添加群より、仔の体重,臓器重量が有意に大きかった。
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