研究概要 |
血栓症を予防する物質の検索を、広く植物性食品関連の物質を対照として行った。スクリーニングは、ヒト血液のPRP(多血小板血漿)のinvitro系における血小板凝集作用を、惹起物質としてコラーゲンまたはADPを用い、試料による凝集の阻害効果を調べた。供試試料は、野菜ジュース48種および食品香気の成分であるピラジン類緑化合物30種を用いた。 1.野菜ジュース類の血小板凝集阻害作用 (1)強い血小板凝集阻害効果を示した野菜(10倍希釈で50%以上阻害)ニンニク,シシトウ,サヤインゲン,ホウレン草,カブ,アスパラガス,セロリー,アシタバ,ニラ,パセリ,トマト,ネギ,シソ (2)ホウレン草の血小板凝集阻害作用効果の強かったホウレン草については、品種および部位による阻害効果を調べた所、東洋種>洋種,葉身>葉柄であった。これは蓚酸含有量と相関する傾向であり、今後検討を要するものと考えられた。またホウレン草の摂食による血小板凝集への影響を調べた所、4名の被検者のうち3名で効果が認められた。 2.ピラジン類縁体の血小板凝集阻害作用 (1)置換アルキル基の数は、多い方が強く、1置換<2置換<3置換であるが、4置換は3置換と同等か、あるいはやや弱い。(2)置換位置に関しては、3置換体また2置換体にあってもあまり違わない。(3)アルキル基の違いでは、大きい程強い。(4)6員環のピラジンの方が5員環のピラゾールより強い。(5)置換基は、O-アルキルはアルキルと余り変らないが、S-アルキル,カルボン酸,ケトンなどはむしろ弱める。
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