研究課題/領域番号 |
60580089
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
科学技術史
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
川又 淳司 立命館大, 産業社会学部, 教授 (30066584)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1986年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1985年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 日本薬事行政 / 西欧薬事行政 / 毒薬贋薬取締 / 医薬品試験 / 司薬場 / 粗悪品 / 特許薬 / 品質規制 / 安全規制 / 薬事法 / アルカロイド薬 / 化学合成薬 / 生薬 / 薬害 / 薬理学 / 毒性学 / 急性・慢性毒性試験 / 薬剤師会 / 薬科大学 / 製薬業 |
研究概要 |
薬事行政の近代化には、一般的に、次の特徴が認められる。1.18〜19世紀の都市化・工業化・戦争などにより、環境・生活が悪化し、多数の重病患者と疾病が発生した。その結果、医療活動と病院が普及し、莫大な医薬品需要を生んだ。2.薬業の形態は、古い薬局・雑貨商から、製薬工業・医薬品流通業へと専門化・多様化し、多数の新参者を迎えた。3.医薬品の種類では生薬が支配的で、粗悪品や特許薬が大流行し、次にアルカロイド系薬に集中し、化学合成品へと移行した。4.薬剤師はギルド徒弟から化学技術者としての職能を確立する過程で、不正品規制と教育制度の確立に努力した。然し発展の急な薬業を内部から規制することに十分でなく、行政的対応を生み出す方向に進んだ。他方、医薬品中毒克服の課題は専ら医師に委ねられた。5.行政活動が19世紀後半から始まり、当初品質規制による薬業育成、次いで大企業の誕生をみる20世紀前半に、安全規制へと進展した。6.安全規制行政の段階に入って、化学領域から薬理学・毒性学へと、影響範囲を拡大した。7.日本の薬事行政は、明治初期のアヘン取締りで始まり、毒薬アヘンにふさわしい生産・販売管理が企図された。続いて毒薬取締りが行われた。当時の輸入品のなかに偽贋品・粗悪品が頻発し、防止策としての品質試験と品質保証行政が行われた。それらの多くが毒薬に関するものであったことにより、実質的な毒薬の品質保証となった。そこから発展した行政であったため、粗悪品排除と国産品育成(産業振興)策を基本とした。輸入品途絶を機に産業育成策は一段と強められて、昭和の戦時体制へと引き継がれた。日本の薬事行政が明白な安全規制の性格を有するようになるのは、はるかに下って、1960年代に入ってからのことで、大衆薬時代以後のことである。西欧の薬事行政と比較した時、その水準に致達するまでに、ゆうに半世紀を経過している。8.毒性学の寄与は稀薄だった。
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