研究概要 |
1.スポーツジャーナリズムの展開という点からみると, アメリカにおける体育・スポーツ関係雑誌の刊行は, 1870年代後半から著しく盛んになる. 20世紀初頭までの約30年間に156種類の雑誌を確認した. 2.これらの雑誌は「種目別・領域別雑誌」(138種類)と「一般総合雑誌」(18種類)に大別することが出来た. そして「種目別・領域別雑誌」は, 各々の情報内容から(1)「競馬・馬中心」(24種類), (2)「狩猟・射撃中心」(24種類), (3)「運動競技中心」(19種類), (4)「野外活動中心」(14種類)(5)「自転車・自動車中心」(26種類), (6)「体育・身体訓練中心」(11種類), (7)「その他」(20種類)に類別することが出来た. (1875年から1904年) 3.「種目別・領域別雑誌」の刊行の動向は, 当時の講読者層による社会的ニーズと対応したものであり, 各種目ごとに継続的なスポーツ情報を必要とするような社会的なスポーツブームと結びついていた. 4.またこうした状況の中で, 「一般総合雑誌」も新たな注目を得た. 一般総合雑誌の記事内容を仮りに, 当時のスポーツに対する総合的なニーズを反映するものとみなせるとすれば, 当時の第一流誌「アウティング」の分析では, フィールドスポーツ系とアスレティック系とアウトドアスポー系の記事量は, 大まかに各々三対一対二に相当していた. 5.「教育現象とかかわる体育情報」は, 「体育・身体訓練中心」雑誌の刊行とともに増加した. そこでの学校にかかわる競技スポーツ情報や, 健康・体力に関する情報は, 時代とともに「一般総合雑誌」やスポーツ誌以外の一般誌までも, 浸透してゆく傾向をみせた. そしてこの種の系譜の情報は, 情報提供者としてのコーチと体育教師とによって, 二つの異なった働きかけを見せていた. だが体育関係者が果たした情報全体へのインパクトという点では, あくまでも部分的にしか過なかった.
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