研究概要 |
企業, 団体等の人事担当者の協力をえて退職予定者名簿により, 調査票を直接対象者に郵送し, 記入後返送してもらう方法で, 定年退職前と定年退職後に同一対象者にアンケート調査を実施した. 調査票の回収は, 予想以上に難航し, 本報告書作成時点では, 一次調査が135票, 二次調査が65票にとどまった. 回答者は学歴も高くいわゆる「中の上」に属すると思われる. データは, 単純集計と, 性別, 職種別などによるクロス集計を行なった. 余暇行動の前提条件となる余暇時間, 自由裁量所得, 仲間, 余暇施設については, 余暇時間の増大の割には, 他の項目の増加はわずかであった. 定年後の余暇活動は, 「仕事, 勉強, 家事などの疲れをいやす活動」などが減少し, 「健康や体力の向上を目指す活動」「自分で作れる喜びを満たす活動」などが増加している. 具体的な余暇活動としては, スポーツでは, 「体操」「ジョギング」などの健康志向の活動と, 「キャンプ」「登山」「スキー」などの野外活動, 「ゴルフ」「ボウリング」「テニス」「卓球」などの個人あるいは対人スポーツへの希望が多い. 趣味創作活動としては, 「園芸」「写真撮影」「日曜大工」などが上位を占めている. 娯楽活動は「バー, 飲み屋」「外食」「カラオケ」「囲碁」「将棋」が定年前, 後ともに上位であった. 観光では, 「国内, 外旅行」のほか, 手軽な「ハイキング, ピクニック」「動植物園, 水族館, 博物館」「ドライブ」への人気が強い. 以上まとめると, 健康的でのんびり, マイペースで行なえるようないわゆる時間消費型の活動が志向されているといえよう. 定年のイメージについては, 予想していたより明るく, 現実にそくしたとらえかたをしている.
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