研究概要 |
病弱児の健康を管理するには, 観察者のきめこまかな観察眼を必要とする. この観察する観点の一つに体温の計測があり, きわめて有効な指標となっている. この体温を, 身体全面を一時に計測する方法がサーモグラフィーであり, 一回の計測に必要な時間は約5秒で, 身体に接触することなく計測が可能である. この身体表面の温度計測には, 基準値がないということで, 病弱児の健康観察に使用されていなかった. 本研究では, 身体表面温度の計測部位の検討と体表面温度各部位の基準値の作成を行なった. 計測部位の検討は, 額, 左右の眼, 肩, 腋下, 乳首, 肘, 大腿部, 膝, 脚脛部, 足先, 手首, 膝蓋背部と臍, 背中中央, うなじ, 腹部中央の27部位をえらび, 因子分析を行なって, 左右の肩, 脚脛部, 手首, 眼, それに額の9部位とした. 9部位の計測は身体前面1回の計測で可能となった. 身体表面温度9部位を男女別, 学年別, 季節別に基準値の作成を行なった. この結果, 病弱児の身体の訓練を行なうにあたって, 容易に健康状態を把握できるようになり, 連続して身体の訓練を行なっている場面での健康状態を管理できる.
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