研究概要 |
本研究は抗原特異性の極めて高いモノクローナル抗体を利用して, 酵素化学的・蛋白化学的性質の酷似するヒト唾液および膵α-アミラーゼを分別定量し得るイムノアッセ系の確立とモノクローナル抗体の抗原結合部位の構造を明らかにする目的で遂行された. 1.唾液α-アミラーゼ特異的モノクローナル抗体について: 精製ヒト唾液α-アミラーゼを抗原として, 免疫感作したマウス脾臓細胞とマウスミエローマとの細胞融合実験を10数個反復して, 膵α-アミラーゼとは全く反応せず, 唾液α-アミラーゼのみと反応する抗体(IgG)産生株2株を得た. これらハイブリドーマの分泌する抗体のβ-ガラクトシダーセ複合体と別のハイブリドーマの分泌するモノクローナル抗体との組合せにより, サンドウイッチ酵素イムノアッセイ系を検討したところ, 0.1〜10μg/mlの感度で膵α-アミラーゼと分別し得るアッセイ系を開発した. しかし, 血中の唾液由来α-アミラーゼの定量には上記感度では充分とは言いがたく, 現在土にに高抗体価の特異的株体産生ハイブリドーマを検索中である. 2.膵α-アミラーゼ特異的モノクローナル抗体について: 唾液α-アミラーゼ特異的モノクローナル抗体の場合とほぼ同様に, ヒト膵α-アミラーゼを抗原として特異的抗体産生バイブリドーマの検索を行ったところ, 数10回の細胞融合反復により, わずか数株のバイブリドーマを得ることに成功した. これらが分泌する膵α-アミラーゼ特異的抗体を利用して酵素イムノアッセ系を検討した結果, 60fmol/mlの高感度で測定可能で, 現在実用化のための臨床実験が行われている. 3.両抗体の抗原決定部位の構造について: いずれの場合も, 特異的抗体産生ハイブリドーマの出現率は極めて低く, それらの分離に長時間を費し本項の研究は現在遂行中である.
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