研究概要 |
放射能,放射線の測定は、これまで強度とエネルギーが主な対象であった。しかし、今日、プルトニウム汚染の検出,β線オートラジオグラフィ,中性子ラジオグラフィ等で、迅速にそれらの分布をテレビ画像化することが要求されている。本研究では、放射能や放射線分布をテレビ画像に変換し、画像処理を施し、これらの分布を定量的に評価することを目的としている。 α放射能分布画像モニター装置は、検出系,撮像系,画像積算系,画像処理系から成り立っている。本研究では撮像系を新しく試作した。この装置は放射能分布が次第に明確になっていく様子を画像積算系のモニター上に見ることができる。得られる積算画像は画像処理系に転送し、画像処理する。 画像モニター装置の基礎特性を調べた。積算画像のノイズレベルは低く、歪率は約2.5%,位置分解能は1.4lp/mmであった。検出系と撮像系をファイバーオプティクス結合に改良したけれど、積算画像の不均一性は残った。積算画像を定量的に評価する目的で、画像処理プログラムを作成した。既存の画像処理プログラムをα線処理用に改良した。さらに、均一補正処理とスポット抽出処理プログラムを新たに作成した。 画像モニター装置をプルトニウム汚染検出に応用した。この測定で、画像積算系のモニター上に、プルトニウムスポット像が明確になっていく様子を観察できた。積算画像上のスポット像を定量的に評価するため、均一補正処理を行った。この処理とROI処理で試料全体の放射能強度が得られた。均一補正処理画像に、さらにスポット抽出処理を施すと、画像上のスポット像からプルトニウム粒子の放射能強度と粒子径分布が求まった。これらの結果は、画像モニター装置が核燃料取扱い施設内でのα汚染の判定と被曝評価に有効な手段であることを示している。画像モニター装置の中性子ラジオグラフィへの応用は今後の課題として残った。
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