研究概要 |
本研究の究極の目的は、アメダス観測網の資料を用いて、日本の動気候学的な気候区分を行うことにある。しかし昭和60年度研究費が当初申請願の1/2、昭和61年度は1/3しか配分されなかったので、交付申請のときは研究計画を変更し、寒候期についてのみ研究をまとめることにした。わが国の寒候期の天気分布は、冬の季節風と密接にかかわっている。そこで天気分布ともっとも関係が深い850mb高度の傾度風向別に、日降水量,1mm(0mm),5mm,10mm,20mm以上の降水階級別の降水確率の全国にわたる分布図を作成した。次に各分布図から10%,90%の降水確率の線に主として着目し、これらを組合せて、降水(天気)分布の地域区分図を作成した。これとは別に、局地スケールの気温分布と深いかかわりを持つ局地風系の分布図を、降水の確率分布図と同様に、地上天気図からみた傾度風向別に作成し、局地風のエア・シェッドに注目して、地域区分を行った。両者を重ね合わせると、降水(天気)分布は、大〜中規模の区分に、風系分布図がその細分にあたる。これらの詳細は、科研費の研究成果報告中にまとめてあるが、原著論文は、筑波大学地球科学系のサイエンスレポートにあり、またその基礎となる図は、クライマトロジカルノートに収録した。 暖候期については、この研究のついでに資料を収集したので、1〜2年後に研究をまとめ、今回の研究成果と合わせて考察を進め、日本の動気候学的な気候区分の決定版を完成したいと考えている。
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