研究概要 |
本研究は次のような目的で行われた. 1.科学的認識における個人の観察・推論過程をアイカメラでとらえ, 学習のタイプを明らかにする. 2.眼球運動を指標とした観察・推論過程の測定評価のための新しい方法を開発する. 3.課題提示法を検討し, 個人特性に応じた効果的な教授学習活動に資する. 研究成果の概要は次の通りである. 1.眼球運動測定システムの開発と試行 (1)教科書挿絵のスライド, 教育テレビ番組を提示し, 刺激特性と眼球運動との関係を追跡した結果, 視点の集中要因, 分散要因が明らかにされた. (2)映像提示, 音声提示, 両者の対提示条件下での眼球運動を比較した結果, 提示法, 刺激特性, 記憶再生と眼球運動パターンとの相互関係をとらえることができ, 効果的な課題提示法に関する具体的な示唆が得られた. (3)眼球運動の指標として, アイマーク軌跡, 停留数, 停留時間, 移動距離, 移動ベクトルの方向などが有効であることが示された. (4)映像メディアを利用した学習教材の効果を測定する手法として, ペーパーペンシルテストに対するAudio-Visual Testの有効性が示唆された. 2.観察・推論過程の測定評価に関する方法論の検討 (1)同一データを従来の群比較法と個別的方法で比較分析し, 観察・推論過程を個別的に測定評価する方法論のまとめを行うとともに, その重要性を指摘した. (2)観察・推論過程の測定評価に関する研究を人間の情報処理過程との関係でとらえ, その方法論や具体的研究, メディアの特性と学習過程との関連などについて論説した.
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