研究分担者 |
石原 豊之 筑波大学, 物理学系, 助教授 (10013385)
古野 興平 筑波大学, 物理学系, 助教授 (40015772)
八木 浩輔 筑波大学, 物理学系, 教授 (60028107)
関 整爾 筑波大学, 物理学系, 助教授 (60015542)
田岸 義宏 筑波大学, 物理学系, 講師 (70015551)
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研究概要 |
電圧コンディショニングにおける放電の発生パターンと電極の損傷の観察から, 大型静電加速器における加速管の電圧不安定性の発生の機構と, 電圧コンディショニングの機構を考察. 小さな電極ギャップによる実験において, これまでに得られている知見と比較し, 電極間距離の増大と加速器の大型化による絶縁破壊電圧の低下の原因を探った. ほとんどすべての加速管電極には放電による表面の溶融跡が観察され, 特に陽極側から出発する比較的緩慢な溶融過程があることがわかった. 電圧コンディションニングは, 電極上の不純物や吸着ガスを放出させると同時に, 電極表面の緩慢な溶融により, 電極面を平滑化させる効果があると考えられる. しかし, 一方では急激な放電電流により, 電界電子放出電圧を低下させるような新たな微小突起や微小粒子を生成する. その結果, コンディションニングはある段階以上に進行せず, 大型静電加速器の加速管コンディションニングは極めて初期的な段階にとどまり, 低い電圧において電界電子放出が始まっていると考えられる. 電極上の突起の生成には, 高いエネルギーをもった微粒子の衝突が重要な役割を果たすと考えられ, 微粒子が加速管の長い領域にわたって加速されることを防ぐため, 静電的な横方向電界成分を利用した掃引を与える加速管構造が必要であろう. 水素放電クリーニング技術は, 新しい加速管または, 長期間大気圧にさらした加速管の初期的なコンディションニングには有効であると考えられる.
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