研究概要 |
LB膜, 有機薄膜製造装置を作製し, LB法による酵素の吸着ができるようにした. 試作した装置の水槽は, 3槽に分割され, それぞれ, LB膜展開, 累積部, 緩衝部, 酵素吸着部となっている. バリアーは2本存在し, それぞれ独立に動いて, 単分子膜の圧縮, 移動を行う. バリアーは, ホールネジによって駆動され, バリアーの位置ぎめなど高精度で行なえるようになっている. またボールネジの駆動は, ステッピングモーターをマイクロステップ駆動することによって行ない, ステッピングモーターにつきものの振動を低減している. 片方のバリアーには表面圧を検出するためのラ グミュアー天秤が取りつけられている. これは, 膜の圧力を浮子が感じ, 圧力に応じて平行バネが変形し, その変形量を差動トランスで電気信号に変換するものである差動トランスからの信号によってステッピングモーターのオン, オフ, 回転方向を制御し, 一定の表面圧を得られるようにしている. これらの装置により, LB膜に酵素を吸着し, 酵素を含んだ有機多層膜が得られるようになった. 一方, LB膜の機械的強度として付着力を選び, ひっかき法によって測定した. これは, 針に荷重を加えて膜の表面を引っかき, 膜が剥がれる時の荷重を付着力とするもので, 膜の有無は, 今まではオージェ電子分光によって行っていたが, 電子線による膜の破戒が著しく, 再現性が得られにくいということがわかったため, 今回は, 微分干渉顕微鏡を用いて行なった. 基板を, 脂肪酸に対するルイス酸, 塩基で区別し, 銀, 酸化インジウム, 酸化錫, 酸化シリコンで行なった. 加える荷重は1mgの精度でモニターし, 銀は6mg程度, その他は, 8から10数mg程度で膜が剥がれること, 及び, 基本の洗浄方法などでも著しく, 膜の付着力が変化し, 累積比などには現われない膜の完全性などを評価できることがわかった.
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