配分額 *注記 |
13,800千円 (直接経費: 13,800千円)
1987年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1986年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1985年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
|
研究概要 |
本研究では, 高励起リュードベリ原子からの電子移動反応を利用した負イオン質量分析法を確立することを目的として, 高励起原子の反応を調べる基礎的研究, それらを応用した分析計の開発を行った. 概要を以下に述べる. 1.高励起リュードベリ原子からの電子移動反応に関する基礎的研究 H_2O, NH_3, CO_2, (CH_3)_2CO, N_2O, SF_6などの基本的な分子のクラスターを対象にして, 高励起原子との反応によるクラスター負イオンの生成過程を質量分析法により調べた. これらの研究から, 高励起原子を用いると負イオンの生成効率が著しく増大すること, 電子移動反応の際に受け渡すエネルギーが小さいため, 対象とするクラスターを壊さずにイオン化できること("ソフト"なイオン化)などが明らかになった. また, 負イオン生成効率の同位体効果や, 負イオンの出現するクラスター数などを理論的に解釈することにより, 高励起原子による負イオン生成過程のメカニズムを理解することができた. 2.負イオン質量分析計の実用化に関する実験 上述の基礎的研究で明らかになった, 効率がよく"ソフト"なイオン化過程は, 微量の生体高分子や石油製品中に混在する高分子不純物などを, 壊さずに効率よく検出するのに適している. この観点から高分子の分析に適した新しいタイプの負イオン質量分析計を開発することを試みた. 日本石油中央技術研究所の試料分析室にある磁場型質量分析計に, 独自に設計・製作した高励起リュードベリ原子源を組み込み, 測定を行った. この結果, グルタミン酸, ベンゾニトリル, ペリレンなどの試料について, 他の質量分析法では得られなかった特徴的な負イオン質量スペクトルを得た. この段階で試料を気化する方法の開発が必要となったので, パルスレーザースッパター法を用いる気化法を考案し, またパルスイオン源に対応するリフレクトロン型質量分析計を製作した.
|