配分額 *注記 |
24,000千円 (直接経費: 24,000千円)
1987年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1986年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1985年度: 16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
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研究概要 |
本試験研究は, 従来の低温顕微鏡の欠点が解消でき, かつ, コンピューターによる画像解析に対応し得る高性能の低温顕微鏡を開発することを目的とした. 装置は, a) coherentで単色性のレーザー光を光源とした顕微鏡と, b) 高精度の試料冷却用チャンバーから成る. 倒立型顕微鏡(Nikon ダイアホトTMD型)の蛍光照明装置からHe-Neレーザー光を光ファイバーで導き, ハーフミラーを通して試料を照射する. 試料は励起されて発光し, その映像は接眼レンズを通して直接観察するか, あるいは, TVカメラで撮像しTVモニターで観察する. レーザー光を光ファイバーを通じて照明する場合, 映像ノイズに妨害されて画像は不鮮明となるが, 光ファイバーを一定振幅で振動させ一様化させることにより解決した. なお, 本顕微鏡はレーザー光の他に, 通常光による位相差ならびにノマルスキー微分干渉観察と落射蛍光による同時観察も行える. 試料冷却用チャンバーは, 液体窒素循環によって冷却される銅製のコールドステージと, これと密着させた光学的に透明な金属蒸着ガラス板とからなる. この金属蒸着ガラス板を試料台とし, 測温体からの信号をデジタル化しPID制御ならびにSCR駆動出力による微小電流を金属蒸着面へ流すことにより試料温度を正確に制御できる. 本低温顕微鏡装置は, 氷の中に埋没した凍結細胞を高解像度で観察でき, 試料の温度を高精度で制御でき, かつ, 操作の容易さにおいて従来の装置に比べてはるかに優れた性能を持っている. 本装置を使って観察した結果, 凍結による細胞膜や液胞膜の特徴的な形態変化が明かと成り, 凍結傷害の原因を究明する上で貴重な知見が多数得られた. また, 画像計測ソフトによる細胞外凍結と細胞容積の解析から, DMSOなどの凍害防止剤の保護機構について新しい知見が得られた. また, 蛍光プルーブを用いて細胞の生理的情報を映像化出来るなどの新たな応用も試みられた.
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