研究概要 |
ディジタル画像処理モアレ法によって, 試験片の各荷重における平面内のひずみ分布をひずみの3成分の等高線, 主ひずみの方向と大きさなど任意の形態で得られるシステムを開発すると共に, 炭素繊維強化複合材積層板に対して, 実験方法を確立し, 炭素繊維強化複合材積層板の複雑な挙動を解明するために以下のような開発を行い, 成果を得た. ステッピングモータを使用して, マスター格子の回転を自動化することによって, 実験の高速化を行うと共に, 設定回転角度の精度を2.8分とすることができた. 荷重制御については, パーソナルコンピュータと荷重試験機を統合することによって, あらかじめ設定したプログラムに従って, 精度よく負荷することが可能になった. 炭素繊維強化複合材板のモアレ法による測定を可能とするために, アルミ蒸着したポリエチレンフィルムにモアレ用格子を焼き付け, それを炭素繊維強化複合材積層板に接着して, モアレ用試験片を生成する方法を開発した. ITVカメラで取り込んだモアレ縞画像は, 開発された平滑化, 極小点探索, 微少面積除去, 枝切り, 切れた線の接続, 縞次数決定などのソフトウェアによって, モアレ縞として抽出される. 抽出されたモアレ縞は, 変位の等高線を表すので, 有限要素的手法を用いて, 区分的に線型な関数で補間し, ひずみの3成分の等高線, 主ひずみ分布, 変位などで表現することができるようにした. さらにひずみ分布より炭素繊維強化複合材積層板の各層の応力分布を推定するための非線型構成方程式の定式化を行った. モアレ法の誤差評価を行うために, ひずみ測定によく用いられているひずみゲージとの比較を行い, 10%程度の違いが存在するが, ひずみゲージの試験片に対する補強効果を考えれば, 十分な精度で測定可能であることがわかった. 切欠き, 層間剥離, 円孔を有する炭素繊維強化複合材積層板について, 実験を行い, 複合材特有の破損を観察した.
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