研究概要 |
ガスタービンをはじめとする各種の高温機器の設計において, 最近では1000°Cを越す高温に耐える構造用材料がしばしば要求される. このような材料としてセラミックスが注目されているが, 高温における衝撃荷重に対する破壊靱性については不明な点が多い. そこで, 本研究では, 衝撃力の測定法およびマイクロコンピュータによるデータの動力学的処理などについて検討し, 1300°Cまでの高温下でセラミックの衝撃破壊靱性を正確かつ簡便に計測できるシステムを開発することを目的とし, 以下の成果が得られた. 1.衝撃破壊靱性値を正確に評価するためには動力学的な取扱いが必要と考えられるので, この分野におけるこれまでの研究結果を調査し問題点を抽出した. 2.高温下における衝撃破壊靱性値の計測システムを作成した. すなわち, 円柱棒を落重とし, 円柱の下部が炉力の試験片を衝撃する際にも上部は炉外に出るようにしておき, 上部に貼付したひずみゲージの出力波形をマイクロコンピュータで処理することにより衝撃破壊靱性値を計測するものとした. 3.2.のデータで処理に必要な動的応用力拡大係数の簡便評価式を導出した. すなわち, 試験片をき裂を有する梁としてモデル化し, 両端自由支持の境界条件の下で解析し, 評価式を求めた. 精度を有限要素法により確認した. 4.試験片の制作の際に問題となる, 機械研磨中に発生したき裂による強度低下について検討を行い, 曲げ強度に影響を及ぼすき裂方向を明らかにした. 5.炭化珪素, 窒化珪素および部分安定化ジルコニアの衝撃破壊靱性値を2.において制作した試験機により測定し, これらの材料の衝撃破壊靱性の温度特性を明らかにした. 結果は, 機械学会において発表予定である.
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