研究概要 |
壁面せん断応力の計測に用いられる接着形ホットフィルムの欠点を改善し, 簡便な測定法として実用化することを目的として, センサーフィルムの直下に温度制御用の第二のホットフィルムを取り付けたdual film probeを提案し, その試作, 静特性試験, 動特性試験および数値シミュレーションを行った. けつを要約すると以下の通りである. 1. dual film probeの試作:ポリイミド膜の両面の相対する位置に, 巾0.1mm, 長さ1mmのニッケル膜を真空蒸着し, 上側をセンサー, 下側をガードとしてそれぞれ定温度形熱線流速計によって独立に温度制御を行った. ポリイミド膜の厚さは100μm,50μm,25μmの3種類とした. 2.静特性試験:供試ホットフィルムを二次元チャンネルの壁面に接着し, 壁面せん断応力とセンサー出力の関係を調べ, ガード温度を高め過ぎると感度が低下すること, ガードによって静特性の壁温依存性が大巾に改善されることを示した. 3.動特性試験:回転弁によって二次元チャンネル内に周期変動流を発生させ, 供試フィルムの出力と壁面せん断応力の位相平均値同志を比較した. 変動する壁面せん断応力は, 流路中心線上の流速から求めた. 中心流速と壁面上の速度こう配がすべての位相において比例関係にあることをあらかじめ確認した. 試験の結果, 単独の接着形ホットフィルムに見られる振巾の低下が, ガードによってある程度までは改善されることが明らかになった. 4. 数値シミュレーション:実験で用いたフィルムよりも, もっと広範囲に材質, 形状, 温度条件を変えて, 最適化を図るために, 数値シミュレーションを行った. 静特性, 動特性共に実験結果と定性的には一致した. しかし, フィルム面内の温度分布の無視, 幾何学的条件の不一致などにより, 定量的な特性予測には至らなかった.
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