配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1987年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1986年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1985年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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研究概要 |
地上の転校に影響され難く, その敷設計画が既設の建築物によって左右され難い地下鉄網は都市部の安定した交通・輸送機関として重要である. その敷設の経済効率を上げるために地下鉄トンネルの径を小さくし, 閉塞率を大きくすることが求められるが, それは列車の運動によって誘起される気流, 列車風, を強くすることになる. 列車風は乗降客に不快感をもたらし駅部の空調負荷を増大させる. それは地下鉄系内の火災時における煙の挙動を複雑にし, 乗降客の避難や消化活動を困難にし, 被害を拡大する要因となり得る. 1987年11月18日, ロンドンのキングス・クロス駅で発生した火災は死者31名, 負傷者23名を出す大惨事となった. この火災においても, 列車風が火災規模を拡大した. 列車風の挙動をより正確に把握することが大きな人的, 経済的損害をもたらす地下鉄火災に対応するために必要である. 本研究の目的は, 列車の運動が誘起する地下鉄列車風の挙動を理論的にも実験的にも正確に把握し, 地下鉄計における換気, 空調及び防災対策等を検討する上で有用な設計指針を与えることにある. 本研究の主要な成果は以下の通りである. 1)トンネル内で運動する列車が誘起する気流の発生機構を理論的に解明した. 地下鉄列車の運動がトンネル内に誘起する気流の挙動を解析するために, 気体を理想気体とみなして基礎的な考察を行い, 列車風を1次元・圧縮性流体として取り扱う理論を提示した. 2)列車の運動と気流の挙動との関わりについて模型実験及び実地計測を通じて明らかにし, 理論の妥当性を検証した. 模型実験装置を用いて, 地下鉄構造・列車運行による列車風現象の相違点を明確にした. 実験データの自動処理をおこなった. また, 帝都交通鉄道営団・東西線木場駅にち, 実地計測を行なった. 3)地下鉄駅各部における火災を模擬した模型実験を行ない, 地下鉄系における防災対策を検討する上で, これらの理論と模型実験の有用性を示した.
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