研究分担者 |
饗庭 貢 金沢工業大学, 工学部, 教授 (50104766)
角 紳一 中部大学, 工学部, 講師 (00102773)
池田 義一 中部大学, 工学部, 教授 (60065266)
中村 光一 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (10024283)
鬼頭 幸生 名古屋大学, 工学部, 教授 (00023044)
桜野 仁志 石川工業高等専門学校, 助教授 (50042932)
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研究概要 |
本研究は, 送電線の事故原因の過半数を締める電撃放電機構を解明し, 電力線路の耐電技術向上を計る事を目的とする. 特に, 北陸地方の電力路線に重大な脅威となっている冬季雷の特異性を解明するため, 昭和52年以来, ロケット誘電実験を重ねてきたが, 昭和60年度からは, 送電線路及び避雷針や避電器などの保護装置へ雷放電を誘導するという, 世界にも例を見ない実験を進めた. 昭和60年冬は, 昭和52年以来の河北潟干拓地での最後の実験として, 高さ10mの避雷針や架空地線, 導体への電撃実験を始め, 計15回の誘電実験を行い, 放電電流と電界変化の測定, 及び放電写真撮影などと多くのデータを得た. 昭和61年冬は, 実験地を標高約千mの奥獅子吼高原に移し, ここに架設されている500kv用試験送電線への電撃実験を試み, 12月4日, 世界発の送電線への誘電に成功した. この実験では, 地上70mまでナイロン糸を絶縁されたスチールワイヤをロケットで送電線上空に引き上げ, スチールワイヤ下端から送電線鉄塔アーム先端へ雷放電を誘発させるという新しい技術を開発した. この時, 鉄塔の4脚及び架空地線への雷撃電流をロゴスキーコイルや磁鋼片などで測定し, 雷撃電流の分流特性と電流波形が明らかとなった. 昭和62年冬は, 昭和61年に続き11回の誘電を成功させた. 内4回は鉄塔, 1回は架空地線, 1回は相導体への雷撃となった. 架空地線への雷撃により電線の損傷が生じ, またしゃへい失敗による相導体への直撃が実現されるなど貴重な成果を得た. この他, 避雷器への2回の電撃実験は, 実験室規模を越える電荷量の放電のため酸化亜鉛素子の損傷を生じ, 今後の改良への指針を与えた. 放電電流や地上電界変化, 雷鳴放電路写真の記録及び送電線鉄塔や架空地線の電流測定, 線路絶縁がいし間電圧なども記録され, 電力線路へ電撃時の状況を総合的に検討することが可能となった.
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