研究概要 |
初年度には, 三主応力制御箱型三軸装置を用いた液状化試験での軸ひずみを自動的に計測できる動的体積変化自動検出装置の試作, 実用化を行った. 検出装置は容量型水位系の原理を適用したもので, 二重管ビュロット内の水位の変動を精度よく測定できることが明らかになった. また, マイクロコンピュータを用い, ひずみ, 間隙水圧等のデータをフロッピーディスクにファイルし, ひずみや間隙水圧と繰り返し回数の関係, 応力とひずみの関係, 有効応力経路等を自動的に作図できるプログラムを開発した. そして, 豊浦砂を用い, 液状化試験の手順, データ処理システムの確立に努めた. 2年目は, 初年度に引き続き, 豊浦砂を用いた液状化試験を行った. 試験では, 平均主応力を一定とし, Π-面上での応力経路が異なる3種の試験を実施した. そして, 応力経路の差異が液状化強度に及ぼす影響を明らかにした. また, 実験, データ処理の精度を向上させるため, 実験手順, マイコン用プログラムに改良を加えた. 最終年度には, 志布志湾で採取した海底沖積しらすを用いた液状化試験を行った. 採取試料は, フルイ分けによって, 2000μ通過試料(試料A),74-420μ試料(試料B),420-2000μ試料(試料C)に分けられた. そして, 粒径分布の差異がしらすの液状化挙動に及ぼす影響が調べられた. その結果, 豊浦砂と粒径分布がほとんど同じ試料Bは液状化強度も豊浦砂とほぼ同じであること, 試料Bより粗い試料Cの液状化強度は試料Bより大きいこと, そして, シルト, 粘土分を含む試料Aは試料Bより液状化強度が小さくなることが明らかになった. 従来から, 粘土分を含むしらすは液状化強度が増すといわれてきたが, 粒径が小さいだけで活性度の低いしらすの細粒分は液状化強度を低下させることがわかった. また, 今後, 多くの実験を行う必要があることもわかった.
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