研究概要 |
ラテライト及び含マンガン低品位鉄鉱石を対象に研究を進めた。 1.ラテライトについて (1)フィリピンの大型ラテライト処理工場浸出滓中のFe含有率は42〜56%程度の範囲で変動する。Fe含有率は浸出滓の粒径によっても大きく変わる。Fe%が最高の粒径は<20μm,最低の粒径は74〜105μmである。浸出滓は大量の微粒子を含み、<37μmは約70%に及ぶ。 (2)鉄源物質の主体は磁鉄鉱質酸化鉄であり、それにわずかのウスタイトが随伴する。磁鉄鉱質酸化鉄の大部分は純粋な酸化鉄ではなく【Mg^(2+)】,【Cr^(3+)】,【Al^(3+)】を固溶し、固溶量は大幅に変動する。 (3)浸出滓を20〜37μmで分粒し、粗粒側を磁選すると効果的な選別が行える。細粒側は比較的高品位の半面実収率が低いので、磁選せずそのまま精鉱としたほうが経済的にも環境保全上も有利と判断される。 (4)酸化鉄精鉱を1,400℃で溶融還元して得た金属は2%台のCrを含有し、その化学組成はJIS粉砕用鋳鉄ボール・鋳鉄シルペップ(2種)に該当する。 2.含マンガン低品位鉄鉱石について (1)ベトナムThai Nguyen地区の鉄鉱石は、針鉄鉱及び石英を主要構成鉱物とする褐鉄鉱であり、ギブサイト,赤鉄鉱も少量含んでいる。針鉄鉱中にはマンガンが比較的均等に固溶している。 (2)粗鉱に対する高磁場磁選の結果、石英,ギブサイトの単体は除去できるが、マンガン鉱物の除去の難しいことが判明した。 (3)高磁場磁選精鉱の還元産物を低磁場磁選することにより、Fe80%,Mn1.5%,Mn/Fe0.019の最終精鉱が得られた。このMn/Fe値は、原鉱石のそれを60%低減させたことになる。低減できたのは、鉄鉱物を金属鉄へ、マンガン鉱物をマンガノサイトに変えられた事による。
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