研究分担者 |
源 堅樹 (株)神戸製鋼所, 軽合金伸銅事業部・研究部, 主任研究員 (30160542)
中尾 和祺 関西大学, 工学部, 助手 (40067632)
亀井 清 関西大学, 工学部, 教授 (70067411)
赤松 勝也 関西大学, 工学部, 教授 (70067643)
小松 伸也 関西大学, 工学部, 教授 (90067637)
MINAMOTO Kenji Chief Research Engineer
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研究概要 |
銅系形状記憶合金(SMA)は価格が比較的安価なためその利用の拡大が考えられているが、Ni-Ti系合金に比較して破断伸びや疲労強度が著しく劣ることが大きい障害になっている。その性能向上のためには結晶粒微細化が有用で、添加元素や超急冷凝固法などによって研究が行われている。この研究では関西大学の研究グループが開発したCu-Al-Ni-Mn系にTiを添加するとかなりよい加工性が得られることが判明しているが、この系を主体にし、再結晶を防止するために、Ti,Zr,Co,Vを添加し、さらにB,ミッシュメタルを添加し、鋳造組織の微細化,再結晶粒の微細化,熱間および冷間加工性,変態特性等を検討した。その結果4032【III】合金にTiを0.5および1.0%,Vを0.2%添加した合金を用いてステンレス鋼製単ロールを用いて超急冷凝固を行い、得られたテープを用い緻密化を押出によって線材を作成し、変態特性、形状記憶特性および機械的性質、延性等を検討すると共に、変態点を異にした2種類の標準粉末を混合することによる変態特性のコントロールの方法を研究した。超急冷凝固試料は通常の凝固試試料に較べて結晶粒径は微細て、as-Splatで1〜2μm,800℃×100min,900℃×30min焼鈍試料でも、微細析出相のpinning効果によって結晶粒成長は抑制され、4032【III】(V1.0,Ti0.5)試料では800℃×10minで2.0μm,900℃×30minで4.4μm程度であった。結晶粒度が2〜3μmに微細化されることによって変態温度Msの著しい低下が生じた。これは粒界によるM変態の抑制によると考えられる。さらに第2相析出物が形成されるとマトリックスからNi,Alがとりこまれ、マトリックスの溶質濃度低下によって変態温度が上昇する。また一方では第2相析出物の微細分散によってM変態が抑制され、以上の因子のかね合いで変態温度がきまる。上記の標準粉末の混合によって変態温度の調整ができることを明らかにし、延性の向上も実現できることなどを明らかにした。
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