研究概要 |
本研究は, 溶接や熱処理など, 加熱・冷却の温度履歴を経た金属材料の組織とその変化過程を画像処理により定量的に評価, 解析することを目的としたもので, 研究項目は次の三つからなる. 1.画像処理法による金属組織定量化のための新しい手法の開発とその応用 2.加熱・冷却過程のインプロセス計測と加工材料組織変化の推定 3.加熱・冷却過程の定量解析に必要な加工材の熱定数測定と新手法の検討 以下, これらの各項目について得られた成果の概略を述べる. 1.画像処理の粒子解析における比較的小さい対象物の周囲長測定に有効な新しいディジタル測長法として「3画素ベクトル法」を提案し, 従来法と比較してその有用性を明らかにした. さらに, 本方法を金属組織の粒子解析と, 放射線透過試験による溶接部の欠陥形状の識別に適用して良好な結果の得られることを確認した. 2.レーザ硬化処理中の工作物表面からの放射分布を赤外線カメラで測定して, 画像処理によって表面の温度分布を求め, これを境界条件とする熱伝導解析によって内部の温度分布を推定するシステムを提案した. また, レーザ硬化処理における亜共析鋼のパーライト分解とオースチナイト均一化過程における炭素拡散, 自己冷却によるマルチンサイト変態といった一連の硬化層生成過程を系統的に理論解析し, 結果を疑似カラーによる画像表示で視覚化する計算機シュミレーションシステムを構築した. 3.セラミックスなどの多孔質材の熱拡散率測定にレーザフラッシュ法を適用し, レーザ光の材料内部への浸透を考慮した新しい測定法を提案して, 測定精度の評価を行った. また, 界面に接触熱抵抗が存在していても, 二層複合材の熱拡散率がレーザフラッシュ法によって測定できる方法を新たに提案し, その有用性を確認した.
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