研究概要 |
中国地方の優良な渋ガキ品種「西条」の風味と品質を高める簡易な脱渋方法を開発するため,アルコールガスとエチレン吸収剤を用いた脱渋方法について種々の試験を行い、実用技術として確立した。概要は次のようである。 1.方法;エチルアルコールガスを揮散させる粉末アルコールとエチレン吸収剤をカキ果実とともに,厚さ50μmのポリエチレンフィルム袋に入れて3〜7日密封する。 2.処理適量;西条果実5kgあたりの処理量は,粉末アルコール24〜30gエチレン吸収剤20g程度である。 3.処理温度;ドライアイス脱渋と同期間の3日間で脱渋させる場合は,28〜30℃に,また4日間で脱渋させる場合は26℃にそれぞれ加温する。室温で脱渋する場合は6〜7日間密封しておく。 4.処理中の過湿障害防止と外観向上のための対策;フィルム内の過湿による果肉軟化や果皮亀裂の発生を防止し、さらに果皮の着色を促進して外観を高めるため,処理前に果実を30℃以下に12〜24時間加湿する予措を行う。 さらにフィルム内に3〜4枚のダンボールシートを中敷として入れ,吸湿させることによりほぼ完全に障害の発生を防止でき,また外観を向上させることができる。 5.以上の1〜4の要素を満した処理を行うことにより,従来から行われているドライアイス脱渋より格段にすぐれた品質と風味,外観および日持性をもった「西条」を生産することが可能である。さらにこの脱渋方法は1986年から鳥取県下のカキ産地で実用化された。
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