研究分担者 |
樋口 貞三 筑波大学, 農林学系, 教授 (50003752)
小野 直達 東京農工大学, 農学部, 助教授 (30015094)
陳 仁端 日本大学, 農獣医学部, 助教授 (70163756)
松木 洋一 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 助教授 (10102740)
八木 宏典 東京大学, 農学部, 助教授 (00183666)
和田 照男 東京大学, 農学部, 教授 (60011847)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1987年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1985年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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研究概要 |
(1) 複合経営の利益を計量的に明らかにすることは, 我が国では本研究においてはじめてなされた. 農林水産省の農業経営(構造改善)調査と農家経済調査の各種のデータで範囲の経済が計測された. 前者のデータではいくつかの経営類型で複合の有利性が検出されたが, 後者のデータではあまり見出せなかった. この相違はデータの性格の差にもよるであろうが, むしろ前者は比較的大規模層が中心であり, 後者はそうでわないということにもとづくと思われる. これによって大規模水田複合経営の意義が検証されたといえる. (2) 複合化の条件は経営類型, 地域性によって異なるが, ほぼ共通して重要なものとして, 農地流動化可能性, 稲作単収, 雇用労働市場等があげられる. このうち単収については高単収地域では5ha程度以上になると単収追求が主眼となって複合化志向は少ない. たがそれ以下で農地流動化の可能性が小さいと, 特に労働力の年間活用, 収入確保という点からの複合化志向が強くなる. また大規模複合とくに野菜等の集約部門との複合化では雇用労働に依存した経営展開が課題となり, 労働市場との関係が重要となる. (3) 複合部門として基本となるものは, 麦・大豆・野菜(露地, 施設)果樹・肉牛等であるが, その他に養蚕, 農産加工等も条件によっては今後とも重要になる場合もある. (4) 集落営農その他の地域農業生産組織は個別農家および集団営農としての複合化に重要な関係があるが, そのあり方は地域や農家の性格によってきわめて多様であり, 簡単にそのあり方を規定できる段階にはない. しかし, 複合化の遅れた地域における複合化においてはもはや個別農家のみの努力では無理であり, なんらかの地域組織によるバックアップが必要となっている.
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