研究概要 |
農産物が機械的外力を受けた際に示す動的応答特性によって貯蔵中の品質変化の定量判定を行なうために, まず全姿農産物を非破壊状態で不規則外力にて加振する装置を試作した. この装置はコンピュータにて制御されており計測及びデータ処理の全自動化が可能である. また, 農産物の動的特性を記述するモデルとして時系列解析で用いられている線形予測モデルを採用した. 即ち, 自己回帰モデル(AR(10)モデル)及び自己回帰移動平均モデル(ARMA(4, 3)モデル)を採用し, 特性のパラメータ表現を試みた. ARモデルパラメータ即ち予測係数はBurgの最大エントロピー(MEM)により, またARMAモデルパラメータはカルマンフィルタを応用した逐次最小2乗法(Rocursve Least Square Methoa, RLS法)によって推定した. その結果, ARMAモデルの方がARモデルよりも少ないパラメータでFFT法によって推定した農産物の周波数応答関数をよく近似することが判明した. また, これらの方法で推定した平測係数が農産物の動特性を定量的に表現していると考えられるが, 1個の農産物について多くのパラメータが得られ品質との直感的な対応をとる事が困難である. そこで多変量解析で使われているマハラノビスの汎距離により貯蔵中の品質の変化の判別分析を試み, 良好な結果を得たがこの場合〓〓同体間の変動も含めて判別している可能性があり, 計測制御装置の改良の必要性が感じられた. このマハラノビスの汎距離の経時変化は, また品質変化の定量的指標となる可能性が見出された. 即ち貯蔵期間の増加とともに増加する傾向があり, かつ貯蔵条件が悪いと増加の割合が大きいことが判明した. 形状記憶合金を駆動装置とする農産物ハンドリング用リッパーを試作して, 基礎的な動特性実験を行った結果, 把握力充分であるが応答速度はあまり高くなかった.
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