研究概要 |
1.60年度の成果:スイカ,マクワウリ,マスクメロンについて打撃試験を行ない,打撃による衝撃・振動特性と打撃音の音響特性と上記食品の物性との相関等について検討した。単振子状に吊り下げたスイカ等に単振子ハンマを衝突させ,衝突打撃面に対して各種方向における衝撃を加速度計により,また打撃音はエレクトリック・コンデンサ・マイクロフォンで受けてともに記録した。振動波形,打撃音波形の解析のために,デジタルメモリやデイジタル・スペクトラムアナライザを用いた。スイカについてその結果を示すと,振動波形及び打撃音波形の両方ともに,未熟なスイカでは波形が対称にならず,熟度が増すにつれて波形は対称となり減衰振動が持続する。さらに対数減衰率,波形のアタックタイム,ディケィタイム,サスティンタイム,レリースタイムと熟度との相関も検討した。FFT法で求めた打撃音のパワースペクトル密度をみると,未熟なスイカではピーク周波数が高く,種々の周波数成分を含むが,収穫適期のスイカではピーク周波数が低下し,単一の周波数成分のみがみられた。それはそれぞれ189,140Hzであった。 2.61年度の成果:前年度の成果をもとに,スイカ等の収穫現場において熟度を判定することを目的とした装置の開発を行なった。2種類を製作したがそのうち1つはノッチ・フィルタの中心周波数を適宜切替えて,打撃音の特徴周波数(FFT法によるピーク周波数)の減衰の大きさで,熟度の推定を行うものである。2つめは打撃音をA/D変換し,そのデータ解析とFFT法によるパワースペクトル密度の計算,および熟度判定の論理演算を行う回路を含む16bitワンボードマイコンシステムである。 上記2つの判定装置を用いて多数のスイカ等について熟度判定を今後行う。
|