研究概要 |
開発中の睡眠ポリグラフアナライザーのシステムは、磁気記録されたポリグラフのデータベースから、脳波・眼電図・筋電図 及び、心電図について睡眠段階の判定に用いられる指標を自動解析し、素データをデジタル値で表示するためのハードウェア部分と、それらの素データをもとに睡眠段階を自動的に判定するアルゴリズムを有するソウトウェア部分から構成され、両者はマイコンで制禦されるように設計された。 前者の部分からは、解析開始時点から毎10秒毎にα波とδ波に関しては10秒間に占める出現時間の百分率,睡眠紡錘波に関しては出現数,眼電図は出現数,筋電図は振巾の積分値,心電図から心拍数,及び、その他に体動数が連続して解析され、記憶装置に貯えられると共に記録用紙上に印字された。 睡眠段階の判定には3-PASS方式と呼ぶ独得の方式を採用、第1段階で上記の生理学的指標の特徴を調べ、第2段階でそれらを用いて睡眠段階を判定し、第3段階で10秒毎の判定結果を睡眠段階の持続性を考慮に入れスムーズィングを行うアルゴリズムを用いた。 試作されたアナライザーによる自動解析の結果は、睡眠段階の経過図とともに、睡眠段階の判定に重要な役割を果すα波およびδ波の単位時間積分値の経時的変化,紡錘波密度,REM密度,筋電位レベル,心拍数などの経時的変化が併記されるように配慮した。 正常成人例について視察的な睡眠段階の判定結果と対比した場合では、睡眠段階の変動数,REM睡眠中の中途覚醒の判定,REM睡眠の終りの判定,75uVw上の徐波を有する徐波睡眠の判定などに若干の相違をみるものの、両者は大旨一致する結果が得られた。今後、高令者,小児・幼児等の睡眠について試作機の性能を検討するとともに細部に残された改良すべき点の検討が必要である。
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