研究課題/領域番号 |
60870047
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
高野 久輝 国立循環器病センター, 研究員 (60028595)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
1986年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1985年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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キーワード | 人工心臓 / 単心室 / 循環維持 / 肺血管抵抗 / 肺循環 / 血漿蛋白量 / 心停止 |
研究概要 |
〔研究目的〕本研究の目的は、回復不能となった心臓に代わり、一つの血液ポンプ(SAH)で長期間全身の循環を良好に維持するための可能性を追求することであり、回復不能高度心不全患者に適用して、患者の救命と社会復帰を計ることが究極の目的である。SAHとは、回復不能心を切除して右心系は右房と肺動脈間をshuntし、左心系の左房と大動脈間に一つのポンプを插入し、この一つの血液ポンプで全身循環を維持する新しい方式である。本年度は自然心臓は切除せず心臓を電気的に停止させ、SAHのみで長期間に亘る循環維持の可能性、循環制御法を検討した。 〔材料と方法〕体重13〜40kgのヤギ10頭の左房と大動脈間にSAHを装着し、短期間の通電により心停止とした。 〔結果〕総合成績:1頭はASDによる逆shuntのためhypoxiaで2日目、2頭は輸血後肺血管抵抗(PVR)の上昇による左房還流不良で1日目、3頭は胸水穿刺後胸腔内出血で5、17、4日目、1頭は消化管出血で5日目、1頭は事故で13日目、1頭はpannus形式による流入障害で16日目に死亡した。しかし1頭は胸水貯溜の発現が3週まで見られず32日間生存した。血行動態的検討:7頭は右房圧(RAP)が8-18mmHgであれば血流量は80-100ml/kg/min、不均動脈圧は76-100mmHgを維持し安定した。ヤギはケージ内での通常の生活が可能であった。胸水貯溜:7頭は3-4日目に胸水貯溜が著明で胸腔穿刺を必要とした。これらのモデルはRAPが高い上に総蛋白量(TP)が5.0g/dl以下であった。第9例はTPを6.0以上に維持した間は胸水の貯溜を認めなかった。 〔結論〕心停止時においてSAHはRAPを高く保つためヤギに於いては胸水の貯溜を認め頻回の胸腔穿刺を必要とした。今回RAPが高値にも拘らず胸水貯溜が緩徐で32日間の循環維持を行ない得たのは、TPが6.0g/dl以上の高い値を保ったことによると思われる。PVRを低く保ち、膠質浸透圧を高く保ち得れば、更に長期の生存の可能性があると思われる。
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