研究概要 |
尿管結石の手術によらない治療法として、尿管鏡を用いた尿管截石術を安全確実に行うためのシステムを開発した。【I】.内視鏡の試作と改良:内視鏡としては、以下の如く目的に応じ種々の形式のものを試作し検討した。すなわち(1)11.5F硬性尿管鏡,(2)11.5F側鎖式硬性尿管鏡,(3)11.5F硬性クランク式尿管鏡,(4)11.5Fファイバーオプティック式硬性尿管鏡,(5)10.5F硬性尿管鏡,(6)5F軟性尿管鏡。【II】.処置具の試作:結石摘出に用いる処置具としては、(1)鉗子類と(2)結石移動防止用具を種々試作した。【III】.結石破砕手段の開発と改良:鉗子のみでは摘出できないような大きな結石の破砕手段としては、強力超音波および電気水圧を用いることを検討し、次のような結果を得た。(1)強力超音波(振動脆性破壊)による破砕では、出力と安全性の上から、発振周波数は25KHz前後,振巾は30〜70μm程度が適当であることが判明した。またこの方法では、振動棒を中空にしておくことにより、吸引器を併用して細かくなった結石の破片を、結石の破砕と同時に灌流液と共に体外に排出できるようにした。(2)電気水圧による破砕では、プローブ先端の熱の発生が問題であり、粘膜保護のため放電のパターンを色々選択できるようにし、さらにプローブ自体も5Fや3Fなど細いものを試作、尿管の条件に応じて使い分けることができるようにした。以上、私たちの開発したシステムの特徴を挙げてみると、(1)腎瘻が必要ないので、経皮的腎尿管結石摘出術よりさらに非侵襲的な結石摘出法と考えられる。(2)経皮的方法でも条件がよければ外来治療が可能な例もあるが、本法では患者の住居が遠隔地であるというような社会的条件をのぞけば、基本的には外来治療ですますことができる。(3)経皮的腎尿管結石摘出術や体外衝撃波では、施行が困難であったり適応にもならない下部尿管結石にも施行できる。(4)通常の例ではX線透視装置や、超音波診断装置をも必要としない等である。
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