研究概要 |
1.術前術中副甲状腺腫瘍局在診断用超音波プローブの開発: AlokaエコーカメラSSD-125Rに装着可能な周波数7.5MHzのプローブを2種類と, 10MHzのプローブを1種類を開発した. いずれもメカニカルセクタ方式とした. 75MHzの1つと10MHzのプローブは接触面積8.3cm2スキャナー先端に水バッグを装着したもので, 焦点距離は, 75MHzのもの2cm, 10MHzのもの1cmであった. 75MHzのもう1つは接触面積45cm2, 焦点距離3cm, 皮膚との接触面が凸形で, スキャナー先端は軟質ポリエチレンでできていた. 穿刺装置は, スキャナー先端に水バッグを装着したプローブに装着でき, 14ゲイジから22ゲイジまで使用可能とした. 2.臨床応用: 原発性副甲状腺機能亢進症(以下PHP)6例(腺腫), 二次性副甲状腺機能亢進症4例(過形成)に対し開発したプローブを使用した. 75MHzの2種類と10MHzのプローブを比較すると75MHz合成樹脂付メカニカルセクタスキャナーが副甲状腺の解像力, 操作性に優れ, 主に使用された. 従来より用いた横河RP2000リニア電子走査装置5MHzRとの比較では, 解像力はすぐれ副甲状腺腫瘍像をより明瞭に抽出できた. CT, 副甲状腺シンチグラフィー(RT)との比較では, 腺腫6腺, 過形成14腺計20腺について重量別に局在診断率をみると, 0.5g未満4腺では超音波断層法(US, 75MHz)75%, CT50%, RI33%, 10g以上10腺ではUS90%, CT70%, RI70%であった. USは, 小さなものから比較的大きなものまでCT, RIに比し, 高い診断率を示した. 術中操作については, 鮮明な超音波断層像は得られず, 焦点距離, 接触面積など超音波プローブの改良が必要と考えられた. 穿刺装置については, 副甲状腺は穿刺しにくい部位にあり, 今回の装置では確実な穿刺は行えなかった.
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