研究課題/領域番号 |
60870060
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮本 健作 阪大, 人間科学部, 教授 (90049148)
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研究分担者 |
水越 治 京都府立医科大学, 教授 (70079896)
佐々木 良二 大阪大学, 医学部, 助手 (40162391)
松永 亨 大阪大学, 医学部, 教授 (10101271)
山田 恒夫 大阪大学, 人間科学部, 助手 (70182540)
吉田 光雄 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (10028334)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1986年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1985年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | 新型人工喉頭の開発 / 新型タピア / ソナグラム / 臨床構音テスト / 代用声帯音声の母音と子音 / 人工喉頭 / 鳴管式 / 高音域 / 広帯域 / 呼気式 |
研究概要 |
1.音源部の特徴:(1)従来型人工喉頭(A)の音源用ゴム膜と異なり、新型人工喉頭(B)ではアルミ箔製の振動弁を用いることにより、喉摘者の呼気熱ならびに結露に対する耐久性が著しく向上した。(2)A器具の振動体は呼気の流れを遮る形で直角に貼られていたのに対し、B器具の場合、振動弁は呼気の流れに沿って平行に近い位置に設けられた。 2.音声の特徴:(1)A器具の代用声帯原音(喉摘者が通常の呼息で生じた音声で、口腔内へ導入する前の音)に含まれる周波数は器具によって若干の違いはあるが、約500〜1200Hzの比較的低周波数帯域に限局していたのに対し、B器具では約250Hzから7000Hzに及ぶ広汎な周波数成分が含まれていた。(2)同一の被験者にA器具とB器具を用いて構音した単語,母音,日常挨拶語,童話などの音声を聴取法によって比較すると、後者の音声は前者のそれよりその明瞭度が高まった。(3)A器具による母音の第1ホルマント(【F_1】)および第2ホルマント(【F_2】)は、B器具の使用により著しく改善され、同時に原波形も健常者のそれに近似した。(4)"オハヨウ"または"コンニチワ"に含まれる母音のうち、人工喉頭による構音が最も難しいといわれている/i/は、B器具を用いることにより、母音認知に不可欠とされる【F_2】がきわめて顕著に改善され、健常者の音声ソナグラムに近似したパターンを呈した。(5)子音〔h〕成分(無声麻擦音)のような声門音の構音は難しかったが、無声破擦音〔tS〕(歯茎音)は明瞭に構音できた。(6)"学校"や"学問"などに含まれる音声破裂音〔g〕(軟口蓄音)の構音は難しかった。(7)"パパ"や"ママ"に含まれる無声破裂音〔p〕(両唇音)ならびに有声通鼻音〔m〕(両唇音)は明瞭に構音できた。このように、喉摘者を対象に新型人工喉頭を用いた臨床構音テストの結果、実用化の可能性を示唆する成績を得た。
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