研究分担者 |
渕端 孟 大阪大学, 歯学部, 教授 (70028728)
大西 徹郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員
藤本 雅彦 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員
福田 康夫 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員
TESURO ONHSHi Hospital, Osaka Univ. Faculty of Dent., Resident
YASUO FUKUDA Hospital, Osaka Unive. Faculty of Dent., Resident
MASAHIKO FUJImOTOO Hospital, Osaka Univ. Faculty of Dent., Resident
|
研究概要 |
コルポスコープは, 拡大鏡による毛細血管走行の観察を通じて子宮頸癌の早期診断に積極的に利用されており, 特に早期癌の診断精度向上に寄与している. 本試験研究では子宮頸部と組織類似性の高い口腔粘膜において, 本装置を改良応用し, 口腔癌や前癌病変の診断精度を高め, バイオプシーの適切な部位を明確にするのに役立てようと考えた. コルポスコープを口腔粘膜観察用として使用し易くするため, 倍率の変更, 動きを防止するストップピンの作製, 観察角度が自由に選択できる支柱台の試作などを60年度に行ったこの装置に光学カメラを接続し, 患部毛細血管の撮影を行ったが, シャッターチャンスが難しいこと, 焦点深度が浅いなど思ったほど操作性が良好でなかった. 61年度には, 光学カメラにかえてテレビカメラを接続し, 毛細血管網を録画することにした. この装置を用い, 口腔粘膜各部(口唇, 頬, 舌, 歯肉など)の正常な血管膜の観察を男12名, 女6名について行ったところ正常パターンを認識することができた. ついで, 口腔粘膜病変(35例)について臨床観察を行った. 偏平苔癖では, 健常なものとほとんど差がなかった. 偏平上皮癌のものでは, 血管ループ配列異常や血管拡張が観察された. 白板症, 上皮内癌, 早期浸潤癌, 偏平上皮癌の症例中, 上皮肥厚や角化亢進の著しいものでは, 血管網の観察が困難であった. また, 特に舌病変では, 唾液と舌の運動に妨害され, 撮影がきわめて難しく, 子宮頸部におむる観察のようにはいかなかった. 表面の角質除去処理(1%酢酸水による含嗽, サリチル酸塗布など)やトルイジンブルー生体染色との組合せも試みたが, 上皮下血管膜の明瞭化には役立たなかった. 肉眼的に癌と思われるものでは, 血管網の異常は認められるものの, 上皮異型度と相関する血管膜異常所見は口腔では観察が困難であった.
|