配分額 *注記 |
14,500千円 (直接経費: 14,500千円)
1987年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1985年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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研究概要 |
昨年度までに, 1型ポリオウイルス生ワクチン株Sabin1株の遺伝情報を二本鎖DNA上に写し取ることにより, この最も安全で優れた生ワクチン株の遺伝情報を遺伝的に安定な形で保存・維持することに成功し, さらにSabin1株ゲノムのカプシッドタンパク質コーディング領域をSabin2株またはSabin3株の相当するゲノム領域と入れ替えることにより, Sabin1株の安全性を持ち2型または3型の抗原性・免疫原性を持つと期待される組換え体ウイルスを組換えDNA技術を使用して作製することに成功した. そこで本年度は, まずこれら組換え体ウイルスの各種生物学的性質のウイルス複製の間の安定性を調べた. 指標として使った生物学的性質は, (1)温度感受性, (2)炭酸水素ナトリウム濃度依存性, および(3)プラークサイズである. 組換え体ウイルスを37.5°Cで10代まで連続継代を行い, 得られた各ウイルス液につき上記生物学的試験を行い従来使用されている生ワクチン株Sabin2およびSabin3株と比較検討した. その結果, いずれの組換え体ウイルスもこれら生物学的性質の安定性は現行の生ワクチン株に優るとも劣らぬものであることが明らかとなった. 次に組換え体ウイルスの免疫原性を知るためにカニクイザルおよびモルモットに接種し, 2型または3型ポリオウイルスに対する中和抗体産生を調べた. その結果, これら組換え体ウイルスは効率良く中和抗体を上昇させることが判明した. 以上のようにして, 新しいポリオウイルスの生ワクチン候補株を得ることに成功したが, 実際に生ワクチンとして使用する前に, ヒトの腸管で効率良く増殖すること, またその増殖の間に強毒復帰が起こらないことなどを検討する必要がある.
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