研究概要 |
1.生体構成成分由来構造既知少糖等の単離精製 ヒト及びウシのプロトロンビン,ウシC1q,ウシ血液凝固第X,第1X因子,ヒトIgG,絨毛癌由来hCG,ヒトトランスフェリン等をヒドラジン分解法にかけて各種糖蛋白質標品のアスパラギン結合糖鎖を遊離し、Na【B^3】【H_4】で還元して各種【^3H】標識少糖を作成し単離精製した。また、糖蛋白質を構成する各種単糖をNa【B^3】【H_4】で還元して【^3H】標識単糖アルコールを作成した。 2.高速液体クロマトグラフィによる微量少糖構造解析法の開発 各種【^3H】標識単糖アルコール及び少糖アルコールを用いて、それらの分離能,再現性,定量性等について、糖分析を目的として製造された国産のHPLCカラム(試作品も含めて)23種および外国製のHPLCカラム8種を調べた。全31種のカラムについてカラム温度,溶媒の種類,グラジエント溶出の条件,流速等を変化させ、各々のカラムの分離性能を単糖アルコール混合物の分離,酸性少糖の分離,サイズによる少糖の分離,糖鎖構造による少糖の分離に着目して調べ有望なカラムについては構造未知のマウスIgG糖鎖及び各種構造既知少糖の構造解析に応用して実用性を調べた。その結果、2種のカラムが単糖アルコール混合物の完全分離をある条件下で80分以内及び2時間で定量的に完了する方法の開発に成功した。また高圧濾紙電気泳動法と同等以上の分離が60分以内で得られ回収後の処理も簡単なシアル酸含有少糖を定量的に分離する実用的手法の開発にも成功した。更に、少糖をグルコースオリゴマーで約25糖単位まで1糖単位ずつ定量的に75分以内で分離し、少糖のシークエンシングを可能にする実用的手段の開発(以上の成果は全て投稿準備中)やレクチンHPLCカラムを使う糖鎖構造による少糖の90分以内での定量的分離法の開発にも成功した(投稿中)。今後、本成果は少糖の自動分析機開発の基礎となるであろう。
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