研究分担者 |
青木 隆夫 東京大学, 医学部, 文部技官 (00101113)
田中 博 浜松医科大学, 医療情報部, 助教授 (60155158)
古川 俊之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20101082)
池田 研二 東京大学, 医学部・医用電子研究施設, 助手 (70010030)
谷島 一嘉 日本大学医学部, 衛生学, 教授 (40010029)
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配分額 *注記 |
14,800千円 (直接経費: 14,800千円)
1987年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1986年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1985年度: 9,200千円 (直接経費: 9,200千円)
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研究概要 |
不整脈の発生機構に位相応答解析による非線形同期理論を導入し, これに不整脈発生に特徴的な電気生理的機序として伝導系内各組織の興奮伝達特性を組み込んだ不整脈数理モデルを作成し, 心興奮伝導系内の異常同期現象を解析した. このため従来のセルモデルに代わり, 心興奮方程式を偏微分方程式で表わし, これによって連続媒体を想定した空間モデルを構築した. その結果, 心臓の形態や伝導時間・不応期などの不均一性の影響を, 有限要素法などの演算によって, 精密に分析した. また, 細胞内の代謝過程とイオン・チャンネルの相互関係を電位生成方程式に組み込む方法を提案した. これには心筋細胞間を接合する親水性チャンネルを介する興奮伝播を, 二次元構造として近似しホジキン・ハックスレイ方程式に代わる簡潔なモデルとした. また逆問題的アプローチによって, 体表面電位と体型および心臓の三次元形態情報を使って, 心臓内興奮到達時間分布を計算し, ついで異所性興奮や伝導遅延部分を含んだ興奮伝導系のネットワークを参照して, 各要素の不整脈モデルに関与する程度を, パラメータとして推定し, たとえば同期結合の強さ, 位相応答曲線, 伝導遅延時間などの推定を試みた. これは心電源の逆問題推定に比べ, モデルの特性パラメータが多いだけ有利であり, 体表面電位, または単独の心臓内電位からでも先験的知識の助けによって, 実用上充分な精度で解を得る可能性が明らかになった. その結果, 不整脈, ことに異所性興奮焦点の正確な位置推定を可能とする理論体系の基本的な要件を明らかにすることができた. この成果を発展させて, 不整脈自動認識機能を心臓モニターに付与するとか, 人工心臓ペースメーカに心房・心室センシング方式の期外収縮検出能力を組み込んで早期診断と即時治療に供するなどの応用開発につながるものと期待される.
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