研究分担者 |
岸 浩 小山高工専, 工業化学科, 助教授 (60042529)
麓 弘道 (財)工業開発研究所, 主任研究員
土屋 正彦 東京大学, 工学部, 助教授 (40010756)
藤井 敏博 国立公害研究所, 計測技術部, 主任研究員 (60109907)
松岡 伸吾 東京大学, 工学部, 助手 (30092331)
FUMOTO Hiromichi Industrial Research Institute, Japan, Researcher
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研究概要 |
前年度に制作した模擬試料ガス(100〜0.1ppmのヨウ素を含む空気)の導入装置を, 市販の大型質量分析計(2次電子増倍管付き)に装着して, まず最初に, 電子衝撃法でヨウ素陰イオンを生成し, そのイオン電流値でヨウ素濃度Cの関数として測定した. その結果, 試料導入系内がヨウ素で汚染されるために, 1ppm以下では検量線(C対で)が鈍感になることが判った. そこで, 導入系を部分的に改造した. 次に, 六ホウ化ランタンを表面材料とする表面電離型陰イオン源を新に制作して, 上記質量分析計に取付けた. 高真空中でLaB_6の仕事関数φを測定し, また, 導入試料ガス圧Psに対するφの依存性も調べた. その結果, 一昨年理論的に求めた最適条件(φ【less than or similar】8eV)を満足するためには, 表面温度Tを1300K以上, Psは10^<-4>Torr以下に設定する必要のあることが判った. 更に, ヨウ素分子の付着率σ, 熱電子による空間電荷制限電流, LaB_6とO_2との表面反応, ヨウ素のバックグラウンドによるCの相対誤差などの諸問題も考慮して, T=1400K, Ps=3×10^<-5>Torrの条件を選定して, 検量線を求めた. その結果, バックグランドイオンを補正すれば,C=50〜0.1ppmまで直線性を示す検量線が得られた. 従って, 検出感度の点では, 所期の目標を無事に達成したことになる. しかし, この方法を実用化するためには, (1)もっと効果的なヨウ素汚染防止策を開発すること, (2)LaB_6よりもσが大きく, O_2との反応性が乏しく, かつφ【less than or similar】8eVの表面材料を見出すこと, (3)小型軽量の四極子型質量分析計でも使用できるように, 熱電子の妨害を効果的に阻止できる方策を開発すること, などの問題が残されており, これらについては, 現在検討中である. 以上の研究成果については, 一部分を国内の学会で既に公表し, 要点は英文2編の形で国際誌に投稿済みである. また, 現在検討中の残余のデータについても, 順次公表する予定である.
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