研究分担者 |
山下 幹雄 電子技術総合研究所, 主任研究官
青柳 克弘 福島工業高等専門学校, 講師 (40150940)
三宅 仁 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (10143819)
加藤 治文 東京医科大, 医学部, 講師 (20074768)
会沢 勝夫 (會沢 勝夫) 東京医科大, 医学部, 助教授 (40074645)
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配分額 *注記 |
19,300千円 (直接経費: 19,300千円)
1987年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1986年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1985年度: 8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
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研究概要 |
早期肺癌の光動力学的手法による診断と治療に, ポルフィリン誘導体が極めて有効であることが判明してから, 10年経過している. さらにこの手法は米国のSDIから国際的に社会問題となっているエイズの治療にも効果があると報告されている. 本研究は化学・生理学, 物理工学, 医学の異った領域の研究者の協力に進められた. 研究開始にあたり, 各研究者の立場から徹底的な討論を行い, 研究対象を絞った. 新規光応答性色素の合成にあたり, 癌組織への選択的集積性は細胞膜への結合と内部への透過に起因するものとする作業仮説をたてた. 合成設計において, 最大の問題点はポルフィリン色素に水溶性を持たせることにあった. しかし色素が水に難溶であっても, 生体適合性をもつキャリアーを開発すれば, まだ有用な色素を発見する可能性を残している. 色素の分子構造と癌細胞への集積性の間には厳密な相関はないが, 非極性と極性部分を局在させる必要があることを見いだした. また新規色素として, 核磁気スピンをプローブとする含フッ素色素を合成し, 癌組織の3次元診断の画像化の可能性を示唆した. (生越, 青柳, 三宅). 動物実験において, 色素-癌細胞組織の相互作用を顕微鏡観察により色素の取り込みと光反応による組織の変化の機序を明らかにした. 新規合成色素はマウスを中心とした動物実験により, 生体適合性, 癌への選択的集積性を評価した. (細胞レベルは会沢, 臨床レベルは加藤が担当). 光工学的手法, フェムト秒のパルスレーザーにより, 合成色素と細胞との相互作用を追跡した. また他の有機化合物を生体組織と生体分子の相互作用を解明するために, 本法が極めて有効な手段となり得ることを証明した. さらに核, 電子スピンなど他の物理工学的手段を組み合わせることにより, 新しい診断, 治療法が発見される可能性があり, プローブとなる次世代の化学物質の開発研究は極めて重要であると結論される.
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