研究課題/領域番号 |
61010007
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
立木 蔚 東北大, 抗酸菌病研究所, 教授 (90006065)
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研究分担者 |
坪井 昭三 山形大学, 医学部, 教授 (70004554)
牧田 章 北海道大学, 医学部, 教授 (60004561)
田中 武彦 大阪大学, 医学部, 教授 (60028272)
平井 玲子 東京都臨床医学総合研究所, 室長 (00125238)
川崎 敏祐 京都大学, 薬学部, 助教授 (50025706)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
11,500千円 (直接経費: 11,500千円)
1986年度: 11,500千円 (直接経費: 11,500千円)
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キーワード | 腫瘍遺伝子(癌遺伝子) / チロシンホスファターゼ / チロシンキナーゼ / 増殖因子 / リソゾーム酵素 / アイソザイム / ピルビン酸キナーゼ |
研究概要 |
本研究はこれまでの癌に係わる蛋白生化学・酵素生化学の蓄積と経験を基盤に、腫瘍遺伝子産物やその標的蛋白の細胞内における機能、これらの蛋白の化学発癌における動向、さらには癌に特異な代謝偏倚や膜偏倚に演ずる腫瘍遺伝子産物、その標的蛋白の役割などを生化学的に解析することを目的とする。以下に本年度の研究実績を記述する。まず蛋白質チロシン残基ホスファターゼの本態が明らかとなった。細胞質に局在するこの酵素は37Kの触媒サブユニット2分子に非触媒性で67Kのサブユニット1分子が結合したもので、作用はチロシン残基にほとんど特異的である。蛋白質セリン残基ホスファターゼにはこれまでに、分子量3-4万の触媒サブユニットを有するものが2種類知られており、これらに分子構造が似た上の酵素は特に重要なチロシンホスファターゼと考えられる。次にチロシンホスファターゼ活性をラット肝の化学発癌過程において追跡すると、予想に反し軽い上昇が見られた。しかし同時期に蛋白質チロシン残基キナーゼ活性は実に大幅に上昇しており、癌化過程にチロシン残基リン酸化が亢進するという説は、化学発癌においても成立することが証明された。武田がチュブリンを基質にウシ脳で調べた限りではチロシンキナーゼΑ高度に多様であり、意義の解明は今後に残される。牧田はアリルスルファターゼΒなどリソゾーム酵素に癌化時に見られるリン酸化をさらに探索して、癌化時にはセリンのみならずスレオニン残基もリン酸化されることを知った。平井は腫瘍遺伝子に支配されるTGFβを癌・非癌で比べ、後者においてのみ他の蛋白質と結合、不活性型として存在することを見た。川崎は糖鎮をエピトープとし癌診断に有効な新らしい単クローン抗体を得、田中はピルビン酸キナーゼのL,R型の構造を遺伝子レベルで明らかにした。佐藤は肝化学発癌時GST-P陽性巣成立の要因を、坪井は蛋白のカルボキシメチル化を調べた。
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