研究課題/領域番号 |
61010009
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
涌井 昭 東北大, 抗酸菌病研究所, 教授 (20006076)
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研究分担者 |
堀 勝義 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (00143032)
前田 浩 熊本大学, 医学部, 教授 (90004613)
馬場 恒男 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (70037323)
藤田 浩 鶴見大学, 歯学部, 教授 (50064332)
高橋 徹 東北大学, 抗酸菌病研究所, 教授 (10004590)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
13,800千円 (直接経費: 13,800千円)
1986年度: 13,800千円 (直接経費: 13,800千円)
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キーワード | 腫瘍組織の循環特性 / 選択的癌化学療法 / アンギオテンシン【II】 / 昇圧癌化学療法 / Smancs / Lipiodol / 改良2経路化学療法 |
研究概要 |
本研究の目的は、腫瘍組織の循環病態生理を解析し、それに基づきより有効な選択的癌化学療法を確立するにある。そのため、昨年度までに明らかにした腫瘍組織の循環特性の解析をさらに進めるため、腫瘍組織の血管走行および腫瘍血管の形成過程について観察し、とくに腫瘍血管の新生は従来いわれていた細靜脈よりは終末細動脈が真性毛細血管に分岐する部位で高率に起ること、腫瘍血管化した宿生血管のアンギオテンシン【II】(A【II】)に対する収縮機能は、増殖ステージの後期まで保持されていることを明らかにした。また、ヒト消化器癌を対象として宿主動脈を検索した結果、いずれの癌でも宿主動脈は癌巣内に到達すると中膜の平滑筋細胞を失い、腫瘍血管化していくことを認めた。これらの所見から、これまでに得られたA【II】昇圧時の腫瘍組織血流の選択的増加の現象が設明され、さらに制癌剤の腫瘍組織への到達量の選択的増加が期待された。事実、実験腫瘍およびヒト腫瘍を用いて血流量、靜注ならびに動注時の薬剤の薬理動態の検討において、昇圧時に血流量および薬剤到達量が増加するのを証明した。また、固形腫瘍においてEPR(enhanced per mebility and vetention)効果の観点から、制癌剤の担体となる物質の探索が進められており、さらにSmancs/Lipiodol動注療法におけるA【II】昇圧療法の有用性が検討されている。一方、実験レベルではあるが、昇圧療法の改良が検討されており、他の血管作用薬の併用で昇圧療法の効果がさらに増強された成績が得られ、また、昇圧を併用した改良2経路化学療法が孝案され実験的に成果をあげている。 臨床的には、昇圧癌化学療法の効果を評価するため、胃癌、膵癌を対象として無作為化比較試験を実施中であるが、その成果に期待したい。
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